話題の本として、わが家も最近「蟹工船」を買ったのですが、内容に加えて作者の小林多喜二の壮絶な最期を思うと、読むのが辛くなってきます。それが、今、若い人たちを中心に、この本が大変な売り上げだと聞きます。
先週の金曜に、こちらのローカルニュースでも、10分ほどの時間をかけて、このブームの発端から、これから社会に出て行く現役の大学生の感想もあわせて、ていねいに紹介していました。
《なぜ今、売れる?「蟹工船」―20代、30代がはまるワケ とは》
(スーパーニュースアンカー「金曜日のギモン」)
大阪梅田・紀伊国屋書店の話題書のコーナーでは、それまで週1冊程度だったものが、4月から週2ケタ、5月から週3ケタの100冊超と急激に売り上げを記録。
「蟹工船」とは?
<あらすじ>大正末期のオホーツク海、蟹をとって缶詰に加工する工場船博光丸、悪臭漂う不衛生な船内…→「蟹工船」(青空文庫)
・白樺文学館(千葉県)は、蟹工船の漫画化や感想文コンテストの開催などブームの土台を作った場所でもある
「今回のブームの特徴は作品そのものを読んで、みんなが共感している。『プロレタリア作家』、『革命作家』の冠をつけずに小説を通じて生の小林多喜二の世界に若い人がストレートに入った」
・感想文を寄せた学生は
「僕らの世代で絶望感は結構ある、格差にどうたちむかっていくのか、『はやる』というのはあまりいいことではないのかな、80年前とおなじ感覚になってしまっているのは恐ろしいところがある。」
就職氷河期は終わったといわれるが、現実は特定の学生にいくつもの内定が集中している現実
「大学にいくのは普通の時代、(就職先)いくあてがなければ、最低働けるところで食べていくしかない」
「働いても働いても楽にならないのは、昔も今もかわっていない。」
「『格差』『格差』と言われて、人を使い捨てにしちゃうような現実をインターネット上なんかで見えてきてしまっている」
彼らが船出していく格差社会の荒波
働いても働いても豊かにならず、その結果住む家を失って「ネットカフェ難民」という言葉が生まれている
・寸前のところで「蟹工船」にすくわれた女性がいる
「派遣で働いていて、簡単な言葉できられてしまう
「新しい社員を入れる」「新しい派遣会社を入れる」とかくだらない理由でクビを切られる
労基署に相談しても派遣なんて不安定な働き方をしているあんたがいけないんだ、あんた何か悪いことをやったんだろうと話にのってくれないこともある
ひどい扱いを繰り返しされてきたもので、すっかり身体をこわして医師から就業を完全にとめられて静養している状態」
蟹工船を読んで、立ち上がる労働者の姿を自分の姿に重ね合わせた彼女に変化が
「泣き寝入りしないためには自分が最低限どういう権利をもっているのか、ただ知っているだけでもかなり違うということがわかったので、最低限の権利など調べて、もう1回立ち上がって『勝つまで戦おう』と心が強くなったかな」
・近代文学に詳しい女子美大・島村教授の解説
「表面的には非常に、確かに豊になってきてますし、80年前とは状況が違う、一部のところにお金が集まってきて、それに反比例するように、非常に格差が拡がり実際働いている人たちが恵まれない、この状況をつくりだす根本的なしくみは、そう変わっていない、これを読んで共感を得た人たちは、ただの共感にとどまらないで、半歩、一歩踏み出して、自分たちの待遇も変えられるのかなというところに進んでいければ、多喜二も本望かなと思う。」
・感想文を寄せた学生たち
「働いている側が団結して、言うべきことは言っていく、それで変わっていく。その人たちが集まって、その人たちの声を聞けるような社会になればいいと思う」
今、脚光を浴びる「蟹工船」、若者たちに訴えるものは80年前とは何も変わっていない
・山本キャスターのコメント
「原作プラス漫画も含めると、この半年で40万部の売り上げ、非正規労働・ワーキングプアの問題は番組でとりあげてきたが、正規労働者のなかにも拡がりをもっていて、形だけ整えても実態は変わっていない。80年前と今と本質は何も変わっていないという思いがこのブームに結びついているのかなと。大学生、高校生のみなさんが社会に出る前に一度読んでみてはどうか。」
少し省略させていただきましたが、ほぼ、もとの話言葉のままです。温かい目線を感じる、好感の持てる内容でしたのでご紹介まで。
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