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May 23, 2011

音楽の力 平和の力

 佐渡裕監督がベルリンフィルで指揮をされたニュースは、テレビや新聞でご覧になられたと思います。演奏会の様子はテレビで放送されるようですが、CDとDVDも発売される予定なのですね。印税を東日本大震災の義援金に充てられるとか。
 今回、演奏された武満徹の「フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム」は去年の9月のPAC(兵庫芸術文化センター管弦楽団)の定期で演奏された、とても美しい曲で、もう一度聴きたいなと思ってました。舞台上での演出も楽しみな曲でしたからDVDが欲しいです。
 もう1曲はショスタコーヴィチの5番だったそうですが、監督がお留守のPACの今月の定期も井上道義氏指揮でショスタコーヴィチの1番です。こちらも心待ちにしていた曲目でした。

オール・ショスタコーヴィチ・プログラム
ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調op.77 (op.99)
交響曲第1番 ヘ短調op. 10
指揮/井上 道義
ヴァイオリン/ボリス・ベルキン
管弦楽/兵庫芸術文化センター管弦楽団
 「曲目解説」が上のプログラムにリンクしています。クリックしてご覧ください。

 話題は飛びますが、昨日は道中に、「ことばの力 平和の力 ~近代日本文学と日本国憲法」(小森陽一著/かもがわ出版)を読んでました。だいぶ前に買った本ですが、震災をきっかけに宮澤賢治について書かれているところから読み始め、その続きで樋口一葉を読んでいたところです。

 樋口一葉が子どもたちの世界をとおして、国家が管理する売春の現場である吉原のなかにおける、一人の人間が人間でないものにさせられていくプロセスを描いたのが『たけくらべ』の意味ではないかと思います。私たちが明治の文学を読み直すとき、その一つひとつの作業のなかにも、いま私たちが生きている時代を世界史的な大きな流れのなかでどのように見直すのかが問われているのではないでしょうか。

 子どもの課題図書にもなるような本に、こんな内容が込められていたとは(不勉強で申し訳ないのですが、読んだことがありません)。
 PACのHPには掲載されていませんが、演奏会のプログラムの中に「名曲サイド・ストーリー」というページがあります。今回は「“DSCH”はショスタコーヴィチの“SNS”?」というタイトルです。DSCHとはショスタコーヴィチのドイツ語表記の中から抜き出した4文字で、これをドイツ音名のニ・変ホ・ハ・ロに読み替えてDSCHの音型を曲の中に用いたのだそうです。ショスタコーヴィチ(1906-1975)の生きた時代は、一葉(1872-1896)とは少し違いますが、頭の中でぼんやりと重なって見えるものがありました。

旧ソ連にはブログもツイッターもミクシイも存在しなかった。仮にあったとしても、そこで自分の考えを自由勝手に述べたら、場合によっては投獄されるか、はたまた処刑される可能性があった。SNSがないと生きていけないと感じている読者は、もしも自分がそうしたコミュニケーションツールを奪われたら、どのような苦しみを感じるか想像してほしい。それこそが、ショスタコーヴィチを読み解くための最初の第一歩である。

 舞台の上におられる指揮者、ソリストをはじめとする皆さんがショスタコーヴィチの意志を継承されているのだと思うと、何か特別なものを感ぜずにはいられません。割れんばかりの拍手のあとのアンコール曲は、「短い曲ですが、しびれまっせ」という井上氏のコメントつきの10番の2楽章でした。

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