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November 04, 2008

「おわりのはじまり」

 小学校2年の夏、遠くの親戚の家で何泊かさせてもらったときに、近所のお宅に連れてもらい初めて本当のブタを見ました。それまで物語の中の動物だったブタは、とにかく大きいし、かわいいどころか怖くて後ずさりしたことを覚えています。そして親戚の家には、ニワトリを飼っていて、その日の晩ご飯は鶏料理でした。平飼いのニワトリらしくコリコリした感触が、そのときは気持ち悪く、おまけに誰かが、それは、さっきまで庭を走っていたと、本当か冗談だったのか言ったりするもので、もう、半べそだったと思います。

2008_11040001 「豚のPちゃんと32人の小学生」
黒田恭史著
ミネルヴァ書房
表紙のオレンジ色の部分は帯で、はずすと本物のPちゃんの写真が見られます。

 映画「ブタがいた教室」を観ながら、現実はどうだったのだろう…とあれこれ思うことはいっぱいあったのですが、まず原作本を読んで驚いたのは、先生自身がブタに対しての知識がほとんどないまま、手探りの状態でのスタートだったことで、多くを子供らや、まわりの大人たちに助けられたことです。
 解剖実習のためのウサギを事前に学生に飼育させる、何てことは聞きますが、小学生にこんなかわいいコブタを見せたら飼いたい♪と言うに決まっています。これは食べ物、育てて食べるなんて、どれだけの子が意識の中にもっていたでしょう。飼育して食べるというのなら期限を決めて、食肉センターへ送るというならまだしも、最終的に命の期限を子供らに決めさせるのはあまりに酷だと思いました。
 あっと言う間に大きくなってしまったブタは思い通りにならない日もあるでしょうし、悪気はなくともエサを食べる勢いで手をかまれたりすることもあるでしょう。3年間のPちゃんとの生活は、楽しいこともいっぱいあるけれど、泣きたくなる日もあったでしょう。そして、この結末だと、子供らの中には、力が及ばなかったと自分を責める子もいたのではないかと心配になりました。
 先生を非難するのは簡単ですが、子供らがブタを殺させないために知恵をしぼって悩む姿を見続け、泣かれてしまっては辛かったことだと思います。周囲の方々も本当に悩まれたでしょう。でも、ブタの命を守るために、手を尽くす子供らの姿は、頼もしく感じられたのではないでしょうか。

 映画では、妻夫木聡さんが、悩みながらも子供らの気持ちを大事にし、ぶれない心を持った先生を演じられていたので、後味は決して悪くありませんでした。
 ドキュメンタリー番組が放送されたのは、私は知らなかったのですが、この本によると、NHKスペシャルに提案しようということになり、その最終の編集段階でのことです。

教育畑を歩んできたNHKのプロデューサーが、突然、大きな声で怒鳴りだした。あまりの剣幕にこちらも驚いた。
 『これは教育ではない。間違った教育だ。間違っているものをNHKで放送するわけにはいかない』
 なにが間違っているのかがわからなかった。ただそのプロデューサーが言わんとすることは、教育というのは、結論がわかっていて、そこにいかに上手に子どもたちを導いていくかというものである。

 こちらの方が、私はひっかかってしまいました。ここからは、まだ考え中です。

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