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August 16, 2007

手紙

「手紙」東野圭吾  映画「手紙」の原作本です。
「手紙」東野圭吾(文春文庫)

 「私の作品はしばしば映像化されますがこの小説に関してはそんな話はないだろうと思ってました」と東野氏は言われています。
 お話の進行はほとんどいっしょです。映画では主人公の直貴はお笑い芸人として夢をつかもうとしますが、原作ではミュージシャンでした。お笑い芸人の方が、今の若い世代の人にとっては、より身近に感じられ夢でもあるのかなと思います。
 大きく違うのは兄の剛志が老婦人を殺めてしまう場面です。映画では現金だけ持って逃げようとするところを目撃され、お金は返すから許してほしいと懇願します。それが不審者の侵入に気が動転した婦人は、手元にあったハサミを振り回し、もみあったはずみで刺さってしまいます。剛志に殺意はありませんでした。
 原作では婦人が警察に通報するのを阻止するため、押さえ込んで持参した工具を彼女の喉に全身の力を込め突き刺します。
 映画を観ていると、剛志と直貴の兄弟は、不運の連続の末に今の生活があるように思えてきます。でも原作では剛志にも直貴にも意志があります。これは、二通りに描き分けられた別の物語ではないのでしょうか?
 「罪を犯すとはどういうことか、刑罰とは何なのか、真の更正とは」がこの小説のテーマだとすると、映画では兄弟の不幸な身の上に感情移入してしまい焦点がぶれてしまうように思うのですが。どうなのでしょう。(^^;

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