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March 29, 2007

ことばへのアプローチ

 Internet Zone::WordPressでBlog生活のGAKUさんのところで紹介されていました本です。→こちら
「遺伝子・脳・言語」 ―サイエンス・カフェの愉しみ 
堀田凱樹・酒井邦嘉著(中公新書)
 2005年に催された「カフェ・デ・サイエンス」(カフェなどの公共の場で一般の参加者が科学者と語らう催し)の全6回を中心にまとめられた本です。遺伝子と脳の話を中心テーマに始められましたが回を追うごとにその話題は広がりをみせ、活発な意見が交わされたそうです。
 昨日、近所の本屋さんで見つけて、その中から《第3回手話の脳科学》を読みました。「第一言語を日本語とする人」と「第一言語を日本手話とする方」、そして間をとりもつ手話通訳者と著者の対談の内容が記録されています。それほど多くない分量の中に手話によるコミュニケーションについてが、わかりやすくまとめられています。
 手話を使って通訳をされているところは見かけることはあっても、ろう者の方が実際に使われている手話と違いがあることに気付くことはあまり機会がないかもしれません。この本では、手話を日本語の伝達手段ではなく別の言語として扱われています。

 この本を読んで、ちょっと古い本のことを思い出しました。もう古書でしか手にはいらないようなので、本文から紹介します。
 「園原太郎がかたる ことば 発達 教育」
きき手 村井潤一・ろう教育科学会編(ミネルヴァ書房)1978年

(村井)先生が最初の方でおっしゃた、口話法が学校教育に出てくる前に、手話と言う言語が、あったわけですね。わたくしはそれは非常に大事なことだと思うし、私も同じ考えを持っているわけなんです。たしかに、口話法の前には言語はないというふうな考え方がかなりあったわけで、言語がないものに言語を与えるという考え方が非常に強いわけです。この考え方は今でもかなり尾を引いているようで、今の口話法のもつ一つの欠点であると思うのです。
 手話という表現の言語が、あったわけですね。それは水準としては低かったかも知れないし、流通性という点においても欠けるところはあったかもしれない。しかし少なくとも、それによって聾者は自己を表現していたと思うわけです。それを教育によって口話という、音声言語でという形での言語へともっていく。わたくしは、そこが非常に重要なポイントなんではないかなあという気がするのです。そういうふうに考えてくると、現在の口話によってことばを入れてやるんだという傲慢さがなくなってくるのではないか。
(園原)傲慢さですか。
(村井)やっぱり、耳の聞こえない人に、何もないところへ口話法というものが与えられることによって言語ができ、人間並みになるという考え方になるわけですね。
 そこがぼくは言語についての一番誤った考えをもたらしている非常に大きなところではないかと思うのです。そういうことはないでしょうか。
(中略)
(村井)先程のところでも 少し出ましたが、手話と口話とが対立するという考え方そのものが誤っていると思うわけです。もちろん、口話法の持ついい面が取り入れられたため、普通の人と話が通じるという面では脹らみはでたし、思考の発達の面でも大きい効果はあったと思いますが、しかし、手話の持ついい面というものに注目されていないのではないか。それを見落としている面は大きいと思うのです。

 手話と口話について、私も少し記事に書いたことがあります。
こちら
 上の文章に書かれている口話とは、相手の唇の動きを読み取ることにより、言葉を理解する方法です。先の「手話の脳科学」の中でちょっと気になったのは、ろう者の方の手話についての説明に「手話は手型だけでなく、顔の表情にも意味が加わっています。顔には文法が表されます。」とあります。それは「顎の動き」から理解できるように書かれていますが、それは、この口話のことになるのか不勉強でよくわかりません。一度調べてみようと思います。

ことばへのアプローチ
ことば 発達 教育  タイトルは村井潤一編で同じミネルヴァ書房から出版された書名です。その中からも少し。
「人はことばによって良く生き、またことばによって人と人は強く結び合います。」

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