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January 23, 2006

出る杭は打たれる

 「生きるための101冊」鎌田慧(岩波ジュニア新書)1998年の中の紹介文を読み、気になる本だったので、探しましたが近くの書店には在庫がありませんでした。とりあえずそちらの紹介文から。
出る杭は打たれる アンドレ・レノレ
花田昌宣・斉藤悦則訳
岩波同時代ライブラリー1994(岩波現代文庫2002)

 アンドレさんは、フランスからやってきたカトリック教の神父である。川崎市(神奈川県)の工場地帯にある教会に所属していて、労働者の公害や労災、労働運動の手助けをしていた。労働者とともに生活する「労働司祭」なのだが、そのうちに労働ビザをとって、町工場ではたらくことになる。が、それだけでは驚くに値しない。彼はそこで労働組合を組織したのだった。
 彼の父親は、フランスの辺境である、ブルターニュの農村からパリへでてきて、ガラス工場の労働者になっていた。それが彼が労働司祭になった大きな理由のようだ。わたしも実家につれていっていただいたことがあるのだが、赤い実をつけた、リンゴの木のある農家風の家に、老いた母親がひとりでくらしていた。
 この本の題名は、直訳すれば「出る釘は打たれる」となる。おそらく、それが日本に二一年も滞在したアンドレさんの強い印象だったのであろう。この本は、日本を冷ややかに観察したものではない。一緒に働いた労働者にたいする深い愛情につつまれている。彼は川崎で労働運動をたたかっている労働者に人気があった。控えめで、誠実な人柄のせいである。
 彼は土建会社のダンプカーの運転手になり、下水工事に従事し、そのあと、会社を移って板金工になる。その仕事は、友達になった労働者が紹介してくれた。が、アンドレさんは、墜落事故にあって入院する。
 皮肉なことにも、日本の読者は、フランス人から日本の町工場の実態を知らされることになる。というのも、このような零細労者で、本を書く日本人はいないからである。それは、この本がフランス人だけでなく日本人にもとても有用だということである。
 「どうして日本に来たのか。聞く耳をもつひとに伝えたいメッセージがあったからである。
 どうして肉体労働をしてきたのか。民衆と生活をともにしたいためである。
 どうして残業を拒否してきたのか。人間らしい生活がしたいからである。つまり、本を読んだり、ものを書いたり、教養を深めたり、社会活動にもとりくみたいからである。そして、失業者にも仕事をまわし「自分の利益しか考えず、しごとをひとりじめして、しかも働きすぎている日本人」という世界中からの非難の根拠になっているものとたたかうためである。」
「世のため人のために役立つ人間は尊敬されてしかるべきです。評価のものさしを変えなければなりません。不動産会社の社員はアメリカの土地を意味もなく所有したがる日本人に売りつけていますが、そんな日本人にくらべれば溶接工の方がはるかに世の中の役にたっているではありませんか。」

この本で言われている「杭」とは・・・。 

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