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January 26, 2005

「事実は小説よりも奇なり」です。

 「映像とは何だろうか-テレビ製作者の挑戦」吉田直哉
(岩波新書2003年)
 表紙の裏書の「ドキュメンタリーで日本と世界の現実を、またドラマで虚構の人間模様を映像化するにあたって、何が壁となり、どんな冒険に挑んだか。NHKの看板ディレクターとしてテレビの草創期から斬新な手法と大胆な構想力で開拓的な番組づくりを重ねた著者が、自らの体験を回想しながら、映像表現の豊かな可能性とその危うさを語る。」にひかれて買いました。

 《ボツになった「無残絵」-「茶の間に出せぬ」映像とは-》に書かれていますのは、少し古い話です。1960年に開始された海外取材シリーズのアフリカにつづく第二弾『東南アジアをゆく』全十五本の撮影のためにインドに行かれました。
 ナヤバチスという「吹きだまりのようなハンセン病患者の集落」でウィリアム・ワイラー監督の超大作『ベンハー』は「いかにきれいごとのつくりものかを思い知らされていたのである。」とあります。そして目の当たりにされた、悲惨な状況の描写が続きます。
 そして、その集落で露天の診療所を開いておられる、日本人医師と出会われます。「日本がアジアでなすべきことはこれだ、と思った。宮崎先生のような献身を、アジアに現存する地獄のような部分に捧げなければならぬ。そのことを、日本にメッセージとして伝えるのがおれたちの役目なのだ、とたかぶった頭で考え続けた。」
 こうして、大変な状況の中撮影されたフィルムは「こんな悲惨なもの、茶の間に出せるか!何を考えているんだ、あのバカは」ということで全部ボツになったそうです。
 
 その次の《乱舞する巴文》は日露戦争の実写映像がたくさん残ると言うライブラリーに15年ほど前に、行かれたときの話です。「古い戦争のフィルムにはずいぶんフェイクが多い。もう訂正しようがないのさ。証拠もたいてい消されているし・・・」というライブラリアンの言葉に全て集約されているようです。

 読んでいて気分が悪くなってきました。毎日テレビで見ている映像は何を映しているのでしょう。かなり前に見た『カプリコン・ワン』と言う映画を思い出します。月面着陸の映像は、スタジオで撮影されたものだったというSF映画ですが、映画の作り話の方が信じられるかも知れない、と言う落とし穴にはまってしまいそうです。

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Comments

百聞は一見にしかず、とは一概に言えない時代なのでしょうか、一見はあくまで自分の目で、フィルターを通せば百聞にも劣る、ものなのか。

Posted by: owl | January 27, 2005 07:03

 今、空にぽっかり満月が浮かんでいます。関係ないけどちょっと感激しました(笑)。
 誰がどういう基準のフィルターを通しているのか、私らにはわかりません。
 映像はあくまで、切り取られたコラージュのようなものとしか、だんだん思えなくなっています。
 信頼回復しようとされているのであればよいのですが・・・。

Posted by: winter-cosmos | January 27, 2005 07:18

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