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December 07, 2004

「病床読書」です。

 思いがけず、去年入院する事がありました。
 普段は仕事関係の本や、資料に目を通すのに追われて、それ以外の本を読む事ができませんでした。休暇をもらったつもりで、まとまった小説を読む事にしました。

 以前から気になっていた、石川達三さんの「人間の壁」上・中・下(新潮文庫)と、あと軽く読めるものを少し荷物にいれました。
  
 「人間の壁」は昭和三十年代初めの地方都市が舞台です。
 長欠児童の家を訪ねて行くと、貧しくて着ていくものがない、履物が無い、子供も働き手としての役割があり、学校へ行く余裕がない。教育を受けさす必要を親が感じていない。
 そしてその貧しさは、生徒や家庭と言ったものにだけ、言える事ではありませんでした。
 そんな状況の中でも、何とかして子供たちに教育を、と苦悩される先生方の日々がつづられています。
 
 文中の、父兄会の席での男性教諭の言葉です。
 「明治時代、あるいはそれ以前の徳川時代の教育では、親がいくら横暴でも黙ってそれに従えと教えていました。そうして育てられた子は、自分が親になったとき、やはり子供にむかって、筋の通らない命令を押しつけるに違いない。
 またこの人は、会社の社長や重役になった時には、部下にむかって横暴な要求を出すにちがいない。気に入らない部下はたちまちくび切ってしまうでしょう。したがってその部下となった人間は、この人に心にもないおべっかを使い、飼い犬のように尻尾を振ることになります。
 あなたがたは、御自分の子供さんが成長して会社員になったときに、横暴な社長や重役に尻尾を振るようなことをしてほしいとお考えになるでしょうか。それとも横暴な社長に抵抗して、筋道の通ったやり方を要求する、気骨のある青年に育てたいとお考えになるでしょうか」
 読んでいて釘付けになりました。

 最近うちの気骨のある青年(?)は、「学校で不条理な事があって、ハラワタが煮えくり返った」と言って、一人でモツ鍋になって帰って来ました(ゴメン)。

 いつか人生をかけて、自分を尽くす日が来るのかなと、横顔を見ながら思いました。

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Comments

こんばんわ、先日(大分たってしまいましたが)は拙ブログへのご訪問ありがとうございました。
何度となく訪れて、winter-cosmosさんの文(端正ですね)を読ませていただいてます。
病床読書の文字
2年ほどまえ、年末年始病室で過ごしたおり、最初は病状がよくなくて、とてもとても読書なんて、だったのですが、無事に一山越えることができて、読書をする余裕も。病室で読んだ本は、ジュンパ・ラヒリとか・・・殆ど誰にも邪魔されることのない、読書するものとしては、とてもよい環境?のはずなのに、何故かあまり自分の中に本の中身が溶け込まないというのか、妙なもどかしさを感じた覚えがありました。
うちのムスメもよく学校の不条理を帰ってくるそうそう、ぶちまけてますよ。「聞いてよ~っ」という感じ。

Posted by: owl | December 08, 2004 17:44

 お恥ずかしいです。思いつくまま書いているので。
 始めた頃の記事にも、書かせていただきましたが、今書かねばずっと後悔する、と言う衝動だけで続いているようです。

 うちの息子の信条は「和を以って貴しとなし」なんですが、本当にその日は許せなかったみたいです。
 次の日までかなり胃が痛んだらしいので、笑っては彼には悪いですが、ホッとしました(笑)。

Posted by: winter-cosmos | December 08, 2004 18:02

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